
こんにちは!
クリスマスシーズンになると街中で必ず耳にする定番ソング、Wham!(ワム!)の名曲 「Last Christmas(ラスト・クリスマス)」。
でも実は、このタイトル 「Last Christmas」の意味を「最後のクリスマス」だと誤解している人もとても多いんです。

え? あのアリアナ・グランデもカバーしている曲ですよね?
“Last Christmas” って「最後のクリスマス」じゃないんですか?
だって last(ラスト)=最後の って習いましたよ?

そうですよね。
日本語では「ラストイヤー」「ラストチャンス」など、“last=最後の” という感覚が強いので、そう思ってしまうのも無理はありません。
でも英語の Last Christmas は「最後のクリスマス」ではなく「去年のクリスマス」 という意味になります。
この曲の歌詞を例にしながら、
・last の本当の意味
・「Last Christmas」はなぜ「最後」ではないのか
・歌詞に出てくる the very next day / gave it away などの意味
を、中学生レベルの英文法でやさしく解説していきます。
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「Last Christmas」の意味
それでは「Last Christmas」の意味について見てみましょう。
・Last Christmas
去年のクリスマス
「last」には複数の意味があります。
一般的によく知られている「最後の」「おしまいの」などの意味以外に、英語では「すぐ前の」「昨~」という意味で使われることも多いのです。
last week → 先週
last night → 昨夜
last summer → 去年の夏

確かに!
last year は「昨年」ですよね!
日本語では「ラスト=最後」というイメージが強いのですが、
「Last Christmas」は「最後のクリスマス」ではなく「去年のクリスマス」 のことを歌っています。

「最後の」と「去年の」という意味をどうやって見分けることができるんですか?

いい質問ですね!
「最後の」という意味で last を使うときには、前に the がつくのが基本です。
This is the last train to Tokyo.
これが東京への最終電車です
「the last」は「最後の」という意味なので、「the last train」で「最終電車」となります。

なるほど。
「Last Christmas」には、「the」が付いてませんね!

「the」があるかないかで判断するのが一番わかりやすいと思いますが、前後の文脈からわかる場合もあります。
「Last Christmas」の歌詞を和訳(意味をやさしく解説)

それでは、Wham!(ワム!)の「Last Christmas」の有名なサビ部分の歌詞を見ていきましょう。
Last Christmas I gave you my heart
But the very next day you gave it away
This year, to save me from tears
I’ll give it to someone special
Wham!「Last Christmas」より
3行目に「This year(今年)」という言葉が出てきます。

この「This year」は「Last Christmas」との対比として使われてる言葉なんです。
つまり、去年のつらい出来事 と 今年のクリスマスへの気持ち を比べているんですね。
「去年のクリスマスは悲しかったけれど、今年こそは自分の気持ちを大切にしてくれる人と過ごしたい」という対比が歌詞のテーマになっています。

え?
この歌って、去年のクリスマスの嫌な思い出を歌ってるんですか?
サビの部分を日本語に訳してみます。
去年のクリスマス、僕は君に心を捧げた
でもすぐ次の日に、君はそれを捨ててしまったね
今年は涙を流さないために
特別な誰かにそれを捧げるよ

こんな内容の歌だったんですね…。
次に、この歌詞の文法ポイントを解説していきます。
「Last Christmas」の歌詞「the very next day」の意味と和訳
サビの中でこのようなフレーズがあります。
Last Christmas, I gave you my heart
But the very next day, you gave it away
まず1行目の文法から確認しておきましょう。
「gave」は「与える」という意味の「give」の過去形です。
「give」は目的語を2つとる場合があります。
「I gave you my heart」の「you」と「my heart」が目的語です。

「give + 人 + モノ」で「人にモノをあげる」という意味になります。
つまり「I gave you my heart」で「あなたに私の心をあげた」と直訳できます。

次の「But the very next day」の部分ですが、日本語訳はわかりますか?

「the very next day」ってなんか変な感じがします。
「the very」の意味
「very」は「とても」「非常に」などの意味で使うことが多い単語です。
しかし「the very」のように「the」「this」「that」などを伴って「まさしくその」「まさに」「ちょうど」などという強調の意味で使われることもあります。

この歌詞でも the very next day = まさに次の日 という強いニュアンス。
つまり「心を捧げた“まさに翌日”に裏切られた」というショックな出来事を強調しているのです。
同じような「very」の使い方の例
The very moment → まさにその瞬間
The very same thing → まさに同じこと
このように、「very」は強調の役割を果たす便利な単語なので、ぜひ覚えておきましょう。
「Last Christmas」の歌詞「gave it away」の意味は?
「But the very next day」のあとに「you gave it away」と続きます。

「gave it away」ですか…。
さっきの目的語を2つとる「give + 人 + モノ」のパターンとは違いますよね?
「give away」の意味
これは「give away」という「(不要なものを)手放す、捨てる」という表現が使われています。

「give away」のような「動詞 + 副詞」または「動詞 + 前置詞」で構成されたフレーズのことを句動詞といいます。
英語では「gave it away」のように目的語が代名詞(it, him, her など)の場合、その目的語を句動詞の間に挟むというルールがあります。
❌ gave away it
⭕ gave it away

だから
「gave it away」なんですね!
「it」は直前に出てくる「my heart」を指します。
つまりこの歌詞では、クリスマスの翌日に受け取ったばかりの「心」を捨ててしまったということがわかりますね。
「This year, to save me from tears」の意味
「give it away」の次の行は「This year, to save me from tears」と続きます。
「save A from B」 は「A を B から守る」という意味で、文法の勉強をしているとよくでてくる表現です。
「to」は「~するために」という意味。

つまり「to save me from tears」は「私を涙から守るために」という意味になります。

去年はつらいことがあったけど、「今年は泣かないように」という気持ちが表れていますね。
「I’ll give it to someone special」の意味
「I’ll」は「I will」を短縮したもの。
つまり「今年のクリスマスにはこうしよう」という未来のことを言っています。
「give + 人 + モノ」で「人にモノをあげる」。
この「人」と「モノ」の位置を逆にして
「give + モノ + to 人」という形にすることもできます。
この場合は「人」の前に「to」が必要です。
「give it to someone special」がこの形です。

「someone special」って「特別な誰か」という意味ですよね?

そうです!
去年は心を上げた相手(you)が結果的に間違いだったので、
今年は本当に大切にしてくれる“特別な人(someone special)”に心を渡す
という前向きな気持ちが込められているのがわかりますね。
クリスマスソング【We wish you a merry Christmas】の意味や、「wish」の使い方についてはこちら⇩
今日のまとめ「Last Christmas」


ワム!(Wham!)の「Last Christmas」は、単なるクリスマスソングとして楽しむだけでなく、英語の文法や表現を学ぶことのできる絶好の教材です。
・「Last Christmas」は「去年のクリスマス」の意味
「last」は文脈によって「直前の」や「最後の」を意味しますが、冠詞「the」の有無で意味が変わります。
・「gave it away」の代名詞の位置ルール
句動詞では代名詞は動詞と副詞の間に挟むのが基本です。
・「the very next day」の「very」は強調の役割
「まさに」「ちょうど」というニュアンスを加えることができます。
「Last Christmas」の歌詞の意味を理解したうえで聴くと、これまでとは違って聞こえてくるかもしれませんね。
また、アリアナ・グランデ版など他のカバーも聴き比べてみると、新しい発見があるかもしれませんよ!
Wham!(ワム!)の「Careless Whisper」についての解説はこちら⇩




